2021年5月に発生した神出病院での虐待事件に関して、第三者委員会による報告書が公表されました。神出病院では虐待事件や違法隔離、数々の不適切な対応等が存在し、精神疾患を有する方の権利や心身の健康が日常的に侵害されている状況であったことが記されています。
本学会では、委員会活動などを通じて精神保健看護の質の向上や啓発に向けた取り組みを行っておりますが、今後は具体化を加速させます。
このような痛ましい事件が生じたその背景には、精神疾患をもつ人が必要な時に適切な医療を受ける権利や人として尊重される権利が尊重されにくい状況があります。学会では、精神疾患をもつ人が人として尊重される基盤の形成を目指しておりますが、残念ながらまだまだ十分に行き届いていないことを痛感しています。
患者や家族だけに行動を求めるのではなく、看護師や医療職者、福祉関係者や行政関係者、そして地域に暮らす一人一人の市民が、心の健康を市民の権利と考えて自他の心の健康増進のために行動できるような土壌が必要であると考えます。
2023年の学術集会は神戸市にて開催を予定しており、次回の学術集会までに追って取り組みを公表してまいります。
令和4年8月12 日
日本精神保健看護学会 理事長
安保 寛明