日本精神保健看護学会の会員の皆様へ
新緑がそよぐ風に包まれ、心地よい陽ざしが日々の暮らしに彩りを添える季節となりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
さて、本日は「e-Mail ニュースレター」第105号をお届け致します。
それでは、本号の内容をご覧ください。
- 理事長報告 (理事長 寺岡征太郎)
- 日本精神保健看護学会第35回学術集会・総会の開催にあたって(第35回学術集会 会長 田中浩二)
- 実践の質向上委員会主催研修会開催の報告(実践の質向上委員会 委員長 岡田佳詠)
- 調査結果の学術集会における発表について(高度実践看護師活用促進検討委員会 委員長 松村麻衣子)
- ISPN (International Society of Psychiatric-Mental Health Nurses) 2025参加報告(理事 千葉理恵・濱田由紀)
- 理事会報告(総務委員会 委員長 中戸川早苗・副委員長 桐山啓一郎)
1. 理事長報告
本学会では、虐待防止に向けた取り組みの一環として、「精神科医療現場における虐待防止に向けた団体会議」に参画しています。2023年5月に公表された共同声明「精神科病院における看護職による患者虐待事件を受けた今後の虐待防止に係る取り組みの強化について」以降も、定期的に会議が開催されており、日本看護協会、日本精神科看護協会、日本精神保健看護学会の関係者が継続して参加しています。
本学会からは、理事長、萱間副理事長、岡田理事(実践の質向上委員会委員長)が出席し、3団体で精神科医療現場における虐待防止に向けた具体的な取り組みを共有し、今後の方向性について検討を重ねています。
2025年4月7日(月)に開催された会議(オンライン)では、本学会が制作・公開した虐待防止啓発動画の活用状況や、それを基にした研修会「みんなで学ぼう 精神科医療現場における虐待防止~臨床現場でのグッドプラクティスを共有しよう~」の開催実績について報告しました。
また他団体からは、令和4年の精神保健福祉法改正を踏まえた施策推進や、行動制限の最小化に向けたヒアリングの実施(日本看護協会)、倫理教育の充実による精神障がい者への適切なケアの推進(日本精神科看護協会)など、多様な取り組みが共有されました。
今後も本学会は関係機関と連携し、虐待のない精神科医療の実現に向けて取り組んでまいります。
第6期理事長
寺岡征太郎
2. 日本精神保健看護学会第35回学術集会・総会の開催にあたって
第35回学術集会
会長 田中浩二(金沢大学)
日本精神保健看護学会第35回学術集会企画委員会では、2025年5月31日(土)、6月1日(日)の開催に向けて準備を進めております。すでに多くの会員の皆様に参加登録をしていただき誠にありがとうございます。
能登半島地震から1年数カ月経過しておりますが、能登地区ではいまだに日常が戻ってきていない状況があります。保健医療福祉や教育は、公共サービスとして重要であり、現地の皆様をはじめ全国の各団体が様々なかたちで生活を守るために尽力されています。現地の訪問看護ステーションでは、つどいの場のニーズがあって、喫茶店の空き店舗を使用して看護師たちがボランティアでカフェを運営されているようです。奥能登の高校生は、町の人たちに元気がなくなったことを懸念し、年少の子どもたちの居場所づくりや地場産業の復興、高齢者の孤立予防のために自分たちができる貢献を探求しています。看護を志す高校生から、探求の活動のテーマとして居場所づくりの相談を受けた時に、未来の看護を担う高校生の願いに触れて、どのような状況であっても看護や教育を保障することの重要性を実感しました。これまで、本学会の先生方によって災害後の中長期的なメンタルヘルス支援として、孤立・孤独の防止のために様々な活動が展開されてきたように、能登地区でも地域の皆様と協働しながら、精神保健看護のサービスが保障できるように尽力いたします。
本学術集会では、すべての人々にメンタルヘルスのサービスが届き、SDGsの理念のひとつである「誰一人取り残されない社会」の実現に向けて、コミュニティや保健医療福祉機関、教育機関など様々な場での精神保健看護がディスカッションできるようにプログラムを準備しております。詳細は、ホームページに掲載しておりますので、ご覧いただけますと幸いです。企画委員一同、皆様にお越しいただけることを楽しみに金沢でお待ちしております。
日本精神保健看護学会第35回学術集会
日時:2025年5月31日(土)~6月1日(日)
会場:金沢歌劇座 懇親会会場:金沢21世紀美術館内Fusion21
テーマ:こころのケアのユニバーサル化と安心の考究
https://nex-tage.com/japmhn35th/
3. 実践の質向上委員会主催研修会開催の報告
実践の質向上委員会
委員長 岡田佳詠(国際医療福祉大学)
実践の質向上委員会では、以下のように中堅看護師の方を対象にした研修会「中堅看護師対象研修会 精神保健看護における権利擁護とリカバリー支援~私たちのストレングスを看護に活かそう」を開催しました。多数の方にご参加いただき、有意義な会となりましたことに心から感謝申し上げます。
アンケート結果
【開催日時】 | 2025年2月15日(土)13時~16時 |
【開催方法】 | オンライン(Zoom) |
【担当者】 | <講師>齋藤嘉宏・田上博喜 <ファシリテーター>菊池美智子 中野眞樹子 根本友見 |
【申込者数】 | 15名 |
【参加者数】 | 13名 |
【参加者概要】
1. 会員/非会員
会員 4名
非会員 9名
2. 参加者所属
精神科病院 9名
総合病院精神科 1名
訪問看護ステーション 1名
教育機関(専門学校) 1名
大学院生 1名
3. 看護師経験年数
4.精神科看護師経験年数
【アンケート結果】(回答数11/13名)
5. 本研修会をどのように知ったか
6. 研修について(「1~5」5段階)
1) 内容の分かりやすさ
2) 今後に役立つ内容だったか
3) 研修の形式は良かったか(講義&ディスカッション)
4) 感想
グループワークについて
- 各病院でも同じ思いを抱えながら仕事をしている事を知り共感できた。今後の課題も具体的にあげられたので、取り組んでいこうと思う。
- オンライン研修は一方通行になりがちですが、本研修は講義だけではなく、グループワークで発言できる機会もありよかった。
- ファシリの先生が入っていただいたことで、とても話しやすかったですし、色々な意見を聞くことができてよかったです。
- 他施設の方も倫理的葛藤の場面に関して話し合いの場を持つことが出来、葛藤するような場面が実際起きたときどう考えて進めていくべきか改めて頭の中を整理出来たような気がします。
- ディスカッション形式で他の人と意見交換できたのがよかったです。
- 話しやすい流れだったと思います。
- 一つの事例を掘り下げて深めるのもよいと思いました。
- グループワークのときに、顔が見えた方が私は安心できるので、画面オフの方やアバターの方がいらして、逆に緊張してしまいました。(それぞれのお考えがあると思いますが)話すときは画面オンだとありがたいかなと思いました。
講義内容(ストレングス)について
- ストレングスとは、どう捉えるのか最初は分かりにくかったが、ワークシートに自分なりに書いてみたり、みんなの発表を聞いていくうちにストレングスをイメージできるような気がした。葛藤があったとき、倫理綱領にあてはめて考えてみたり、スタッフとコミュニケーションをとっていきたいと思った。
- 今まで自分のストレングスを考えることがなかったので、よい機会となりました。
- 自分のストレングスを探す事が難しかったです
- 虐待通報された事例が印象的だった
- 事前資料を含めて参加方法がわかりやすく、進行がスムーズでした。
7. 今後取り上げてほしいテーマ・学会への希望
- 職員の人権をどのように守ることができるのか
運営総評
- 全体評
テーマごとに講義、講師同士の寸劇、1グループ3~4名でのグループワークを繰り返し、和やかな雰囲気で進めることができた。 - アバター使用について
参加者同士で話すにあたり、「安心安全な場づくり」に配慮し、アバターおよびニックネームを使用しての参加可としたが、Zoomのバージョンのためかアバターの設定ができず、カメラオフでグループワークに参加する人がいたり、アバター使用せずそのまま参加する人がいたりとバラつきがあったため、かえって話しにくさを感じた参加者・ファシリテーターがいた。アバターを設定することで、背景も隠れるため、もしも周囲に人がいても気づけないことから、「安心・安全な場」がかえって脅かされているのではないか(オンラインでの事例検討会などでは、背景の設定を禁止にしている所もある)。オンライン研修におけるプライバシーの配慮については引き続き検討が必要である。 - グループワークの進行について
自身のストレングスを挙げる作業はかなり個人差があり、グループによってはなかなかディスカッションが進まず、ファシリテートに苦労した。
経験年数に幅があったため、語りの量に多少差があったが、進行に大きな支障はなかった。
【研修会の詳細報告は以下のURLからもご覧いただけます】
https://japmhn.jp/a/2867
4. 調査結果の学術集会における発表について
高度実践看護師活用促進検討委員会
委員長 松村麻衣子(大阪信愛学院大学)
昨年度に実施いたしました「精神保健看護領域における高度実践看護師および専門性の高い看護師の活動状況と課題に関する調査」につきまして、第35回学術集会において示説発表(2題)を行う運びとなりました。ご来場の際は、ぜひご高覧賜りますようお願い申し上げます。
あわせて、ワークショップ34「みんなで語ろう︕ 精神保健看護領域における高度実践看護って何だろう?」も企画しております。高度実践看護の意義や今後の展望について、参加者の皆さまと意見を交わす貴重な機会となればと存じます。ご関心をお持ちの方は、ぜひご参加くださいますようお願い申し上げます。
【昨年度実施の調査に関する情報は以下のURLからご覧ください】
https://japmhn.jp/a/2868
5. ISPN (International Society of Psychiatric-Mental Health Nurses) 2025参加報告
理事
千葉理恵(京都大学)
濱田由紀(東京女子医科大学)
日本精神保健看護学会とMOUを締結したInternational Society of Psychiatric-Mental Health Nursesの年次大会ISPN2025が、2025年3月19日~22日にアメリカ・ニューオーリンズで開催され、日本からも2名の理事を含む数名が参加しました。AIの発展が精神保健看護学の教育や臨床にどのように変えていくかに関するプレナリー・レクチャーをはじめ、シンポジウムや、多くの一般演題発表やポスター発表などがありました。
“ISPN Global Partners: Strengthening Impact and Enhancing Contributions To Mental Health Services Worldwide”というセッションでは、ISPNと協力関係にある4つの学協会 (Global Alliance for Behavioral Health and Social Justice、National Association of Clinical Nurse Specialists、International Nurses Society on Addictions、日本精神保健看護学会)から1名ずつが登壇し、それぞれの学協会の概要や行っている活動などについて発表しました。日本精神保健看護学会からは、精神科病院における虐待予防の取り組みや災害精神保健看護の活動などについて千葉理事が発表しました。その他、Sri Lankan Professional Nurses’ Clinical SocietyとIndian Society of Psychiatric Nursesからのスライドによる学会紹介も行われました。
翌日のInternational Meet & Greetでは、Daniel Wesemann理事長をはじめとするISPNのBoard Memberとアメリカ以外の国々からの参加者が集まり、今後どのようにネットワークをつくっていけるかについて話し合いました。国を越えてつながり、メンタルヘルスや精神看護の課題を一緒に考えていこうという暖かく情熱的な雰囲気がありました。また、日本人参加者による研究発表や様々なセッションへの参加を通して、アメリカをはじめとする各国からの参加者との交流をもつことができました。
【ISPN2025参加報告の詳細は以下のURLからもご覧いただけます】
https://japmhn.jp/a/2869
6. 理事会報告
総務委員会
委員長 中戸川早苗(北里大学)
副委員長 桐山啓一郎(名古屋市立大学)
第6回理事会および研修会開催のご報告
2025年3月17日(月)に、第6回理事会を開催いたしました。現在、第35回学術集会・総会(2025年5月31日・6月1日、金沢にて開催予定)に向けて、準備を進めております。多くの皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております。
理事会の開催に引き続き、同日には「虐待防止動画活用に関する研修会」(対面・オンライン併用)も実施いたしましたので、あわせてご報告申し上げます。
「虐待防止動画活用に関する研修会」開催報告
2025年3月17日(月)に、「虐待防止動画活用に関する研修会」(対面・オンライン併用)を開催いたしました。本研修会は、「みんなで学ぼう精神科医療の虐待防止~臨床現場でのグッドプラクティスを共有しよう~」をテーマとし、本学会が2024年2月より公開している虐待防止啓発動画の制作背景を知っていただくとともに、臨床現場でのさらなる活用方法を検討することを目的として企画したものです。当日は、対面・オンラインあわせて152名の方々にご参加いただきました。
講師には、以下の方々をお迎えしました。
- 駒木野病院 看護部副看護部長 籔下祐一郎 様(管理者の立場からのご講演)
- 共和病院 精神看護専門看護師 石川恵己 様(CNSの視点からのご講演)
- 名古屋市立大学 学生2名(教育現場での動画活用体験のご発表)
籔下様からは、管理者としての現場での動画活用事例を、石川様からはCNSの立場から倫理的視点を交えた活用方法をご紹介いただきました。また、名古屋市立大学の学生の皆様には、教育現場における動画活用の体験についてお話しいただきました。
当日は参加者の皆様からも多数の質問が寄せられ、活発な意見交換が行われるなど、非常に実りある研修会となりました。
今後、本研修会を含む「精神科医療現場の虐待防止動画の制作・公開」に関する一連の取り組みについては、総務委員会の活動報告として取りまとめを行う予定です。その際には、研修会参加者を対象としたアンケート結果もあわせて掲載いたします。
「みんなで学ぼう精神科医療現場における虐待防止」へのご案内
現在公開中の虐待防止啓発動画「みんなで学ぼう精神科医療現場における虐待防止」は、臨床・教育の現場で幅広く活用いただける内容となっております。動画は本学会ホームページよりご視聴いただけますので、ぜひご活用ください。
【動画は以下のURLからご覧ください】
https://www.japmhn.jp/a/2144
マイページ登録内容のご確認のお願い
本学会からの各種ご案内(研修会、学術集会、他団体からの情報など)は、ご登録いただいているメールアドレス宛に配信しております。また、年会費のご案内等は登録住所に郵送しております。異動等による情報変更がございましたら、学会ホームページのマイページよりご確認・修正をお願いいたします。また、マイページ内「お知らせ」では、過去に事務局より配信したメールの内容もご覧いただけます。なお、会員情報の経歴情報欄に、「専門・認定看護師資格の保有」や「特定行為研修に関する情報」などの入力項目を新たに追加しております。お手数をおかけいたしますが、情報のご確認と必要事項のご登録をお願いいたします。
広報・情報委員会(千葉理恵, 神澤尚利, 小澤亜希絵, 後藤恭平, 西将希, 林佑太)
HP https://japmhn.jp/
Youtube https://www.youtube.com/@japmhn
Instagram https://www.instagram.com/japmhn_insta/
Facebook https://www.facebook.com/JAPMHN/
X(Twitter) https://twitter.com/japmhn