日本精神保健看護学会会員の皆さまへ
猛暑を越える「酷暑」が続き、もはや災害ではないかとも思えるこの夏でしたが、皆さまはいかがお過ごしでしたでしょうか。
さて、新しい委員会体制にて作成しました「e-Mailニュースレター」第106号をお届けいたします。ぜひご覧ください。
1. 理事長報告
一般社団法人日本精神保健看護学会
理事長 武用百子(大阪大学)
このたび、第7期日本精神保健看護学会理事長を拝命いたしました。会員の皆さまには、日頃より本学会の活動にご理解とご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
本学会は1991年の設立以来、精神保健看護の学術的発展と実践的貢献を積み重ねてまいりました。その歩みの中で、精神保健看護が社会に果たす役割の重要性は年々高まり、国際的な連携や政策提言への期待も広がっています。
第7期の大きな特徴として、第6期の寺岡前理事長のご尽力を受け継ぎ、新たに「高度実践看護師活用推進委員会」が立ち上がりました。寺岡前理事長が推進された高度実践看護師の活動基盤整備の思いを引き継ぎ、精神看護専門看護師(CNS)の認定申請を支援するとともに、スキルアップや活躍の場を広げる仕組みをさらに発展させてまいります。精神保健課題が複雑化する今、高度実践看護師の専門性を可視化し、教育・制度整備・社会的認知の向上へつなげることが求められています。
また、私が重点課題として掲げたいのは、精神科医療における人権尊重と虐待防止への取り組みです。日本精神科看護協会や日本看護協会と共同で声明を発表した流れを継承しつつ、学会としても責任をもって課題解決に取り組んでいきます。さらに、自殺や若者の精神的な問題に対しても、本学会としてどのような貢献が可能かを模索し、会員の皆さまと共に知恵を結集してまいります。
本学会は今後も、会員同士の交流や実践知の共有を重視し、誰もが参画しやすい開かれた学会運営をめざします。専門や立場を超えた協働のもと、新たな価値を創出し、精神保健看護の未来を切り拓いていきたいと考えています。
引き続き、皆さまのご支援とご助言を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2025年9月
2.第35回学術集会・総会を終えて
第35回学術集会長
田中浩二(金沢大学医薬保健研究域保健学系)
日本精神保健看護学会第35回学術集会・総会は、2025年5月31日・6月1日にわたって、金沢歌劇座で開催され、その後6月11日~30日の間、オンデマンド配信を実施いたしました。1047名の皆様にご参加いただき、盛会となりましたことに心より御礼申し上げます。
講演・シンポジウムでは、国内外のあらゆる立場でメンタルヘルスケアに携わっている方々より話題提供がありました。途上国のメンタルヘルスに関するWHOの政策や多民族国家である英国・豪州の歴史的課題と新たなメンタルヘルスケアの仕組み、被災地での発災時からの中長期的な支援、教育分野におけるメンタルヘルスと自殺対策のあり方、重層的支援を必要としている人々へのコミュニティでの居場所づくりなどを通して、多様な国や民族、支援機関や立場、価値の違いを超えてつながりを考える機会となりました。ポジティブ心理学の研究での活用や実践に生かす質的研究では、精神保健看護の研究で活用されている新しい概念の真価や研究方法等が紹介され、心のケアの発展のために重要なことを考える機会となりました。また、理事会企画や日本精神科看護協会との合同企画シンポジウムでは、COVID-19のパンデミックや自然災害、障害者虐待などの健康危機の現場で支援活動を行う支援者のメンタルヘルス、そして外来での看護実践について、メンタルヘルスの政策や高度実践看護の視点から精神保健看護の役割を考える重要な機会となりました。国際交流講演では、AIリアルタイム翻訳が十分に機能しておらず、大変申し訳ございませんでした。
一般演題ならびにワークショップでは、多数のご応募をいただき、精神保健看護の新たな知見や取り組みについてご発表いただきありがとうございました。多くの皆様がご参加くださいまして、活発なディスカッションの場となりました。日本精神保健看護学会は、精神保健看護の学術団体として対話を重視されてきましたが、今回、口演・ポスター発表・ワークショップの会場が狭かったことや、一般演題は時間が短かかったことなどによってご迷惑をおかけしました。そのような中でしたが、皆様のご協力を賜りまして有意義な機会となりましたことに心より感謝申し上げます。
市民公開講座では、「こころの傷を癒すということ」の製作に携わってこられた皆様のご協力によって、安克昌先生の支援のあり方や生き方から、メンタルヘルスケアにおいて30年以上たっても変わらない普遍的な真価に触れることができました。市民の皆様47名を含めて、250名の皆様にご参加いただき、会期中・会期後も皆様から温かいメッセージを賜りましてありがとうございます。
学術集会を通して、参加者の皆様からは、懐かしい再会や新しい出会いの機会となったこと、非会員の皆様からは精神保健看護に関心をもっていただけたことの声をお寄せいただき、この度本当にたくさんの皆様にご参加いただき、ご協力賜りましたことに重ねて御礼申し上げます。精神保健看護をとおしたつながりが新たな機会や可能性を開拓し、人や社会の未来につながることを祈願しております。
3.第36回学術集会 開催案内
第36回学術集会
会長 守村洋(札幌市立大学看護学部精神保健看護学領域)
第36回学術集会・総会は「けっぱれ!精神保健看護 〜今こそ開拓のとき〜」をテーマに、2025年7月18日(土)・19日(日)、札幌市教育文化会館で開催いたします。
4.令和10年度診療報酬改定の要望書などへのご意見の募集 (10月27日まで)
学術連携委員会
委員長 千葉 理恵 (京都大学)
学術連携委員会では、精神保健従事者団体懇談会や看護系学会等社会保険連合の会議に出席し、関連団体との連携を図りながら、よりよい精神保健看護や精神医療の実現に向けた政策の提案等に関する検討を行っています。
第7期学術連携委員会では、令和10年度診療報酬改定の要望書の提出に向けた準備をしていくにあたり、会員の皆様からのお声をお聞きし、参考にさせていただきたいと考え、ご意見を募集することになりました。ご協力くださる方は、10月27日までに下記のリンクよりぜひ様々なご意見をお寄せください。
看護系学会等社会保険連合や日本精神科看護協会からこれまでに提出された診療報酬改定の要望書については、それぞれのホームページに掲載されています。
ニュースレターに関する感想やご意見などは、下記の連絡先にメールでお寄せください。
広報・国際交流委員会(木戸芳史、青木裕見、異儀田はづき、小澤亜希絵、関本朋子、増田郁美、矢野裕佳子)
連絡先 ykido[a]hama-med.ac.jp [a]を@にしてお送りください
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