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理事長挨拶

 この度、第8期日本精神保健看護学会理事長に就任いたしました。このような重い役割を担うに非力ではありますが、理事・監事、評議員、会員の皆様方のお力をいただき、学会の発展に力を尽くしてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 本学会は、1991に設立された精神保健看護分野における日本で唯一の学術団体です。学会設立の背景に、1989年の保健師助産師看護師養成所指定規則改正においてカリキュラムに精神看護学が独立した分野として位置づけられなかったことに対する強い危機感がありました。1997年の指定規則改正においてようやく独立した分野として位置づけられたわけですが、学会設立の背景を胸に刻み、本学会は設立当初から精神看護のアイデンティティと専門性の探求を続け、着実に発展してまいりました。そして今年、学会員が1000名を超えました。精神保健看護のさらなる学問的実践的発展を目指して、以下のような学会活動を進めてまいりたいと思います。

 学会活動の大きな柱のひとつは研究の推進です。看護研究の目的は看護学における知識体系と介入技術を発展させることであり、それにより看護の受け手である人々の健康とQOLに寄与することにあります。現場にある豊かな経験知の帰納的意味付け、介入研究によるエビデンスの集積、トランスレーショナルリサーチなど様々な方法を用いた研究成果が発表されてきています。学会誌も年2回発刊となりました。会員の皆様の研究活動が推進され、投稿論文数が倍増されることを目指したいと思います。

 また、会員の皆様が学会という場を活用して研究、教育、実践を推進できるような土壌作りがあります。そのひとつが会員対象の研修会等の企画運営であり、若手研究者のための研究助成金による支援活動です。学会が、会員間や当事者の方々との情報交換・ディスカッションの場としての、また共同研究や事例検討の場としてのホームベースの役割を果たせればと思います。そのためにも、学会ホームページ、会員マイページ、ニュースレターのさらなる充実と活用促進を図りたいと思います。

 精神看護の専門性とその価値を社会に分かりやすく示し、精神看護実践を社会経済的評価に結びつける活動も重要です。今年、精神科リエゾンチーム活動の診療報酬化にこぎつけることができました。培ってきた看護の技術が十分に発揮できる社会的環境を整えることは重要な学会機能です。学会員の皆様には、評価に見合う看護技術をそれぞれのサブスペシャリティの視点から是非ご提案いただきたいと思います。このような活動は、他の看護系学会・団体、他分野の学会・団体等との学術的政策的連携の上に推し進めることが極めて重要です。疾患や障がいを抱える人々に添う保健医療の統合的発展を目指し、これまでの学術連携活動をさらに国際的にも広げていくことが必要でしょう。

 また、日本における高度看護実践家のあり方と教育に関する検討を深め具体化することは看護界にとっての重要課題です。学会間連携を密にし、精神看護分野における検討を続け、意見を発信していく必要があります。

 最後になりますが、東日本大震災がもたらした人々の深いこころの痛みを癒す取り組みも、学会として長期的視点で継続して進めていきたいと思います。日本社会全体も慢性的な心の危機状態にあります。昨年厚生労働省は、地域の医療計画に対策を盛り込むべきとしてきた4大疾患に新たに精神疾患を加え5大疾患としました。このような危機状態に精神看護の専門学会としてどのような貢献ができるのか、熟考し取り組んでいかねばなりません。

 理事・監事、評議員、会員の皆様のお知恵とお力をいただき、現実を見据え、夢を描いて進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

第8期理事長 野末聖香
(慶應義塾大学)