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本ページの内容は、第7期理事長からのご挨拶です。

理事長挨拶

 日本精神保健看護学会は、精神看護学の発展をはかり、広く知識の交流を行うことを目的に1991年7月6日に設立された学会です。 精神保健看護に関する学会としては、日本で唯一の学術団体であり、現在、会員数は900名を超え、過去20年間に着実な発展を遂げております。 病院・地域等で精神看護の実践に携わる方々、教育研究機関に身を置く方々、関連分野の研究者の方々などが加入されています。 本学会の主な事業は、学術集会の開催、学会誌の発行、教育活動としての講演会やワークショップの開催、ニュースレターの発行等です。

 本学会設立以来、精神保健看護を巡る状況はめまぐるしく変化してきております。 そもそも本学会は、1989年の保健師助産師看護師養成所指定規則改正の折に、 精神看護学がカリキュラム内で独立した柱として位置づけられなかったという危機感から発足されたという経緯があります。 その後、1997年の指定規則の改正により、「精神看護学」は看護基礎教育課程において明確な位置づけを獲得するに至りました。 しかしそれと同時に、精神看護学の中身がさらに問われることともなりました。 こうした中、本学会は、学会設立の背景からも常に精神看護のアイデンティティと専門性を探求し続けながら発展してきました。

 この間、障害者基本法(1993)、精神保健福祉法(1995)の成立、また直近では心身喪失者医療観察法(2003)、障害者自立支援法(2005)の成立と、 精神保健医療を巡る法制度の動きはめまぐるしく、確実に地域精神保健医療の時代へと移行してきております。 また、うつ病、人格障害、加齢に伴う精神障害の増加など、疾病動態の変化も加わり、これまで以上に厳しく、精神看護の専門性やその社会的貢献が問われる時代に突入してきております。

 しかし同時並行するように、看護教育の高等化が進み、看護系大学さらには看護系大学院も次々と開設されてきました。 それを反映するかのように、学術集会や学会誌では高度な専門教育を受けた若い世代の精神看護の実践者・研究者らによる多彩で意欲的な研究成果が発表されるようになりました。 こうした精神看護の次世代を担う人々の輩出は希望を抱かせるものですが、しかし日本の精神医療の裾野は広く、本学会が果たすべき課題は今なお山積しております。

 本学会は設立当初より、学問と実践の融合を重視するとともに、会員相互のコミュニケーションを大切にするという伝統を有しています。 こうした本学会ならではの良さを継承し、変化する時代の中で、社会からの要請に応え得るよう精神看護の中身を精錬するとともに、 どのような変化の中においても変わることのない精神看護の本質を探究すべく、会員の皆様とともに力を尽くして参りたいと存じます。

 奇しくも本学会は、「精神疾患を有する者の保護およびメンタルヘルスケア改善のための諸原則」に関する国連決議が採択された年と同年に設立されました。 本学会の発展が、精神保健医療のユーザーのケア、ならびにすべての人々の精神保健の向上に寄与するよう、皆様とともに活動して参りたいと存じます。 会員の皆様のお力添えのほど、よろしくお願い申し上げます。


日本精神保健看護学会
第7期理事長 田中 美恵子